「ところで、言い出しっぺの真二は?」
「よう、待たせてワリィな」
そこで店主はようやっと姿を現した。
何年も愛煙しているというマルボロのメンソール、白い煙をふかすその姿は、待たせたことをあまり悪いとは思っていなさそうに見える。
「これで俊明が“学生”じゃなくなったわけだが、おまえら、今後どうしてくつもりなのかと思ってな」
ワキさんは本当に出し抜けに主題に入った。
「1年後には洸介と彰人も高校を卒業して、同じように学生じゃなくなる。就職も進学もべつに考えてねえんだろ」
アキが先に頷く。
ワンテンポ遅れて、俺も同じように首を縦に振った。
「まあ、寛人はまだあと3年間“学生”することにしたみてえだけど」
この地区でトップの高校に楽々と合格してみせたヒロは、伏し目がちのままその言葉に反応した。
最年少であることにどうしようもないもどかしさを感じているらしい末っ子から、高校に行くことにした、と報告を受けたのは冬に入ってからのことだ。
誰にもなめられたくない、という理由がなんともヒロらしいと思った。
ぎりぎりまで悩んで、考えて、その末に出した答えなら俺はどちらでも肯定するつもりだった。
だから開口一番、よかった、と言ってしまったのは自分でも意外で。
実の弟のように思っている。
ランドセルのころから知っているし。
たぶん俺も、アキと同じような感覚で、ヒロを見ているんだと思う。



