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自然と他人の長所にばかり目をむけられる季沙は、昔から褒め上手で、そういうのに気を良くする単純なやつは決して俺だけじゃなかった。
彼女は自分のことを“ミーハー”と呼ぶけど。
相手のいちばん言ってほしいような言葉を無意識に、ものすごく的確に選び、本気で思っていそうなトーンで、それでいてなんでもないことのように、いとも簡単に口にできてしまうのは、ある種の才能なんだろうとも思う。
季沙のそういうところが本当に好きで、本当に嫌だ。
甘い蜜のような言葉や態度にほいほい乗せられ、好意を寄せてくるつまらない男はけっこういるから。
なにがあっても寄せさせてこなかったが。
「だからといって身内に嫉妬するのはやめろって何回も言ってるだろ」
先日執り行われた卒業式で、卒業生代表として完璧な答辞を読み上げたひと学年上の先輩が、笑いつつも本気のあきれ顔でぼやいた。
「季沙が俺に言う『かっこいい』は、小さい子が親戚のおじちゃんに言うのと同じだよ」
「バッカ、オレらの基準で洸介を測ったらダメなんだって。トシはわかってねえなあ」
季沙は、アキのこともヒロのこともトシのことも本当によく褒める。軽率にべた褒めする。
なかでもトシのことは、かっこいい、とまるで挨拶するみたいに言う。
トシくんの答辞すごかったね、あんなにかっこいい人なかなかいないよ――が、最新のそれだ。
「洸介はな、季沙の目に自分以外の人間が映っただけで静かに戦闘モードに入る男だぞ?」
アキがいつもの調子で茶化してきたのは無視しておいた。
自然と他人の長所にばかり目をむけられる季沙は、昔から褒め上手で、そういうのに気を良くする単純なやつは決して俺だけじゃなかった。
彼女は自分のことを“ミーハー”と呼ぶけど。
相手のいちばん言ってほしいような言葉を無意識に、ものすごく的確に選び、本気で思っていそうなトーンで、それでいてなんでもないことのように、いとも簡単に口にできてしまうのは、ある種の才能なんだろうとも思う。
季沙のそういうところが本当に好きで、本当に嫌だ。
甘い蜜のような言葉や態度にほいほい乗せられ、好意を寄せてくるつまらない男はけっこういるから。
なにがあっても寄せさせてこなかったが。
「だからといって身内に嫉妬するのはやめろって何回も言ってるだろ」
先日執り行われた卒業式で、卒業生代表として完璧な答辞を読み上げたひと学年上の先輩が、笑いつつも本気のあきれ顔でぼやいた。
「季沙が俺に言う『かっこいい』は、小さい子が親戚のおじちゃんに言うのと同じだよ」
「バッカ、オレらの基準で洸介を測ったらダメなんだって。トシはわかってねえなあ」
季沙は、アキのこともヒロのこともトシのことも本当によく褒める。軽率にべた褒めする。
なかでもトシのことは、かっこいい、とまるで挨拶するみたいに言う。
トシくんの答辞すごかったね、あんなにかっこいい人なかなかいないよ――が、最新のそれだ。
「洸介はな、季沙の目に自分以外の人間が映っただけで静かに戦闘モードに入る男だぞ?」
アキがいつもの調子で茶化してきたのは無視しておいた。



