「こうちゃん……ちがうの。ずっと、変な態度とっててごめんね。嫌なこともいっぱい言っちゃった。きらい、とか」
「いいよ。全部わかってたし」
「え!?」
なんですと。
「17年間ずっと押し続けてダメだったから、ちょっと引いてみた」
「な!」
「俺もわざと傷つけるようなこと言ってごめん」
なんということ。
もしかしなくとも、わたしは最初からこうちゃんの手中にあったのだ。
こうちゃんはこうなることをわかって、わたしがこうちゃんを好きになることをぜーんぶわかって、ひそかに作戦を立てていたというわけだ。
涼しい顔して、ぽやっとしているように見えて、恐ろしい人。
「じゃあまわりくどいことしないでストレートに『好き』って言ってくれたらよかったのに……!」
「やだ。季沙から言ってほしかった」
「な、なぜに」
「季沙は押しに弱いと思って。俺が好きって言ったら、曖昧なままでもうなずいてただろ」
押しに弱い、というワード、短期間のうちに2回も言われることってある?
そんなにナヨナヨして見えるかな。
けっこう、こう見えて、踏ん張って立っているつもりなんだけど。



