グッバイ・メロディー

⋆°。♬


金曜の放課後、約束通り(ほぼ一方的な宣言だったけど)木原くんは2組の下駄箱の前で待ってくれていた。


『ごめん、やっぱりいっしょには帰れないです』

と、朝のうちにメッセージを送っておいたはずなんだけどな。


いきなりのことに納得していなさそうな返事がきていたし、こうなるであろうことはちょっと予感していた。


「ドタキャンはひどくねー?」

「うん、ほんとにごめんね。でも」

「きょうを楽しみに部活がんばったのに」


ぶつぶつ口をとがらせる彼はハンドボール部に所属しているらしい。

顧問の吉井(よしい)先生は学校生活でもじゅうぶん厳しいから、部活となると本当に大変なんだろう。


「なんか、用事?」

「あ、うん、まあそんな感じでして……」

「ぜってー嘘じゃん! 誤魔化すのめちゃめちゃへたくそかよ!」


おもしろそうにからから笑っている。


よかった、怒ってはいないみたいだ。

どういう人なのかあまり詳しくはわからないけど、木原くんってきっと悪い人じゃないのかな。

だからこそドタキャンしてしまって、ちょっと罪悪感みたいなのもあるのだけど。


それでも、もうブレないって決めたんだ。


「一日だけさ、いいじゃん。まだお互いなんも知らないっしょ? 視界に入るくらいはいいじゃん。アリかナシかはそのあとに決めてもらうってことで。それはおれもおんなじだしさ」

「でも、わたしやっぱり」

「うん、やっぱり、なに?」


こうちゃんのことが、


言いかけたそのとき、ぱっと手を取られた。