グッバイ・メロディー



なんの存在意義もなさそうなわたしがぽかんとしている横で、ふたりは頭を下げあい、なにかビジネスライクなことを会話している。

ああ、お仕事なんだなあ、と実感する。


こうちゃんたちもきっと、いつも、こういう感じなんだろう。


ライブをする、とか。
ラジオに出る、とか。
フェスに参加する、とか。


いままでその事実ばかりにはしゃいでいたけど、どれもれっきとした“お仕事”なんだよね。

お金が発生している、決して遊びじゃない、真剣なことなんだ。


わかっていたようでぜんぜん知らなかったこと。


わたしはバンドの“外側”の人間なんだと思い知る。

そしてこれからは、その境目がどんどん大きくなっていくのだろう。

“幼なじみ”なんてべつにそれくらいの存在だ。


いまはなんだかなにを思っても、ネガティブな思考にしかならなくて困るよ。


ホットティーを飲み終わったころ、話がまとまったふたりが同時に立ち上がった。

慌てていっしょにソファからお尻を浮かす。


家庭教師の先生が来ると言い、急いで帰っていったエンジョの制服をぼんやり見送っているところに、ぽつぽつと雨が降りはじめた。

しまった。
傘、持ってない。