「簡潔に申し上げますと、あなた方が非公式で運営していらっしゃる『Sweetie Yellow』をこちらで買収し、公式なファンクラブにさせていただきたいのです」
細身のスーツがとてもよく似合う浅井さんは、こんな女子高生に対しても非常にまじめなしゃべり方をする。
「買収!?」
思わず声を上げたのはわたしだった。
「あの、買収なんて、とんでもないことです。もともとこちらといたしましても利益目的でなく、自分たちがファン活動をしやすくするためにツールとして立ち上げたものですから。もしオフィシャルにしていただけるのなら、こんなに光栄なことはございません」
ひとりじゃ心細いよう、とさっきまで言っていたとは思えないほど、衣美梨ちゃんはとても丁寧かつ上品な物言いで返した。
育ちがいいのだなあ、と隣で変に感心してしまう。
浅井さんは、涼しげにつり上がった一重の目をさらに細め、クールな印象の微笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。交渉成立のようですね」
「こちらこそありがとうございます!」
衣美梨ちゃんの手元にある名刺は、かつてこうちゃんに見せてもらったそれとまったく同じで、どきどきした。



