グッバイ・メロディー

⋆°。♬


「相川さんって5組の瀬名と別れたってホント?」


選択授業の日本史、席替えで新たに隣の席になった男子に、いきなり声をかけられた。


「わ……か?」


れた、とは。


「あ、おれ1組の木原(きはら)。自己紹介もナシに急にごめんな」

「いえ! あの、2組の相川です」

「わはは、知ってるよー! だから話しかけてんの」


木原くん、のことならわたしももちろん知っている。


世界史と日本史に分かれ、1組と2組の合同で受けている授業。

わたしと同じ日本史を選択して、週に3回は同じ教室で勉強しているというのに、さすがに名前を知らないわけないよ。


それに木原くんってけっこう目立つんだ。

なんというか、簡潔に言えばアキくんみたいなムードメーカー的存在で、授業中も積極的に発言したりするタイプだから。


「こうちゃん……瀬名洸介くんとは、別れるもなにも、つきあってすらないよ」

「あれ、やっぱそーなの? そこんとこ、いろいろと情報が交錯しててわかんなかったんだよなー」

「うん……。家が隣どうしの幼なじみだから、よく間違われるんだけど」


へーすげえ、

とつぶやき、木原くんはあまり似合わない可愛らしいキャラクターのシャーペンをくるりと指先でまわした。

妹のやつパクってきたんだ、といたずらに笑う。


「おれさ、相川さんのことけっこういいなーって思ってて」

「……は、」

「覚えてないと思うけど、まだ出席番号順だったいっちゃん最初の授業で、教科書見せてくれたっしょ」