「いいよね、なににも、誰にもなびかなくて。わたしの顔だけ見て簡単に好きになってきたりしないとこ、いいなーって思ってるうちにかっこいいところがたくさん見えてきて、どんどん好きになっちゃって。でも、見るからに季沙が瀬名くんを好きだし、幼なじみには敵わないからってずっと遠慮してたんだ」
「でも、でも……はなちゃん、彼氏さんが」
「あー、ここ1か月くらいうまくいってないんだよね」
ずっとむこうを向いていたはなちゃんが、冷たい笑みを浮かべながらこっちをふり返った。
「でも、もういいんだよね? 季沙は好きって言わないで“いい幼なじみ”に戻るんだもんね。べつに関係ないよね、もう。応援してくれるよね?」
どうしてこんな気持ちになるの。
お腹のなかぜんぶぐちゃぐちゃ。
どこが痛いのか、どこが苦しいのか、それももうわからない。
「ねえ、季沙もほかの誰かに目をむけてみたらいいんじゃない? けっこういるよ、季沙のこと知りたいって言ってる男子。それこそ、いままで瀬名くんに遠慮して手出せないでいたみたいだけど。季沙がほかの誰かとくっつけば、瀬名くんも安心して“幼なじみ”に戻ってくれるんじゃない?」
そう言い残し、はなちゃんはひとりで行ってしまった。
こうちゃんと、はなちゃん。
ふたりがいっしょに下校しているのを見かけたのは、その日のうちのことだった。



