「こうちゃん、ごめ……」
「いいよ。季沙が嫌ならしょうがないし」
ちがうの。
嫌なんじゃない。
だけどうまく伝えられる気がしなくて、いまは顔すらちゃんと見られない気がして、なにも言えなかった。
「あしたからしばらく会うのやめよう」
「え……」
「なんかよくわかんないけど、季沙が俺の顔見たくなさそうだから」
そうじゃない。
そうじゃないのに……。
「わかった……よ。おやすみ、こうちゃん。……ごめんね」
「おやすみ。寒いからちゃんとあったかくして寝て」
「……うん」
我慢できずにいよいよ泣いてしまうかと思った。
こっちを見ようともしないのに、あんまりその声が、言葉が、いつも通り優しかったから。
こうちゃん。
恋ってこんなにむずかしいんだね。
もっとキラキラしてまぶしいものだと思っていたのに。
こんなふうになるくらいだったら、幼なじみのままのほうがきっとよかった。
こんな気持ち、気づかないほうが絶対よかった。
知らないふりして、いつもみたいに、背中にぎゅっと抱きつきたい。
うそだよ、ごめんね、と言ってしまいたい。
だけどどうしてもできないの。
わたしはこうちゃんのこと――たぶんもう、自分ではどうしようもできないほどに、好きだから。



