グッバイ・メロディー



「俺、なんかした?」


チガウと言うかわりに、首を横にぶんぶん振った。


「じゃあこっち向いて」

「……や」

「なんで」


だって、たぶんわたしいま、すごく情けない顔をしている。

背中も、右手も、触れているところ全部がとても熱くて、溶けてしまいそうなくらいなの。


「ね、眠くって……だから、帰って寝ようかなって……」

「一緒に寝ればいい」

「そっ……そうだけど! きょうはなんか! 無理っていうか!」

「だから、なんで」

「なんでも!」


どうしていままで、当たり前みたいにいっしょに寝ることができていたんだろう。


こうちゃんはおかしいと思わないのかな。

意識しているのはやっぱり、わたしだけなんだろうな。


「……わかった」


そうつぶやいたこうちゃんの右手が、ふっと外れた。

とたんに冷える右手がいっきに凍えて、なんだか無性に泣きたくなった。


「こ、こうちゃん……」


ふり返ると、こうちゃんはわたしに背を向け、ひとりで黒いベッドにごろんと寝転んでしまっていた。

こっちは見てくれない。


じくじく、黒い後悔が胸のなかに広がっていく。