グッバイ・メロディー



わたしたちについてよく知らない人からこういうことを言われるのは、少なくないどころか、やっぱり本当に多い。

ただの幼なじみだって訂正すると大抵つまらなそうな顔をされてしまうのだけど。


でも、そんなのはどうしたって揺るぎない事実なわけで、しょうがないよ。

記憶もないくらい小さなころからずっと隣にいて、それがもう当たり前で育ってきたから、ほかの人から見たらなにがおかしいのかもわからない。


異性なのに、なんて言われても、フツウの男女の距離感なんて知らない。

これが、こうちゃんとわたしのフツウなんだ。


「たしかに、やだね。返事に困っちゃうもんね」


こうちゃんはなにも答えなかった。

今度はイクラ軍艦を口へ放りこみ、表情を変えないでむぐむぐ咀嚼するだけだ。


「ていうかそれ、わたしのイクラっ」


こうちゃんがびっくりしたようにこっちを見る。
直後、子どものころには無かった喉仏が大きく上下した。

飲みこんだな!


「楽しみにとってあったのに……」

「ごめん」

「食べたかった」

「ごめん」

「こうちゃんのばか」

「今度いっしょに寿司行こう」


だから怒んないで、だって。


普段は誰に嫌われても平気ってふうな顔をして生きているくせに、わたしが怒ったり、すねたり、泣いたりすると、こうちゃんはまるで世界の終わりが目前に迫っているかのような態度をとる。


こんな調子で16年間もきてしまっているから、わたしってこうちゃんに対してはきっと超絶めんどくさい女。

はなちゃんにも、ウチのお母さんにも、こうちゃんに甘えすぎだとたまに叱られる。