グッバイ・メロディー



みちるちゃんはアキくんを追い返したりせず、そっとドアの内側に迎え入れた。

かわりに外へ飛び出したわたしを迎えてくれたのは、こうちゃんだ。


「お疲れさま」

「うん」


ふたりで歩く、なんの変哲もない帰り道。

違うのは、クリスマスイブでどこか浮足立った街並みと、この気持ちを見つけてしまったわたしの心だけ。


いったいなにを話せばいいのかぜんぜん見当もつかなかった。


いつも、わたしたちってなんの話をしていたんだっけ?

こうちゃんってこんなにも無口だったっけ?


いろいろ考えているうちに、意識せずとも、どうしても少し離れてしまう。

のろのろ歩くポンコツなスピードを、こうちゃんの広い歩幅が何度も立ち止まって待ってくれた。


「体調悪い?」


何度目かの信号待ちのとき、ふと顔を覗きこまれた。


心配そうな瞳。

こうちゃんの吐き出した白い息が、黒い夜空へ上っていく途中で消えた。


ふるふる、かぶりを振る。

大丈夫だよ、の一言すらうまくしゃべれなくて、あの水蒸気といっしょに消えてしまいたくなった。