そう、なのだ。
わたしのなかにこの気持ちが生まれてしまった時点で、きっと確実に、どちらにせよこのままではいられないわけで。
長い年月をかけてふたりでいっしょに大切に育ててきた、この世にひとつだけの、わたしたちだけの世界。
それが、こんなにも簡単に消滅してしまった。
たぶん、わたしが消滅させてしまった。
それがいちばん苦しい。悲しい。切ない。さみしい。
こうちゃんに、申し訳ない。
「――今夜のゲストはお久しぶりの登場ですね、あまいたまごやきのみなさんでーす!」
返事ができず、黙っているうちにやがて18時となり、いよいよきょうのお目当てが始まってしまった。
レトロなデザインの赤いラジオ、そのボリュームの丸いツマミをみちるちゃんの指が右向きにまわす。
最初に出演したときはあんなにはしゃいで騒いぎながら聞いていたというのに、きょうはずっと、ふたりとも、黙ってスピーカーに耳を傾けた。
みちるちゃんはいま、どんな気持ちでアキくんの声を聴いているんだろう。
わたしはいま、すごく、会いたいような、会いたくないような気持ちで、こうちゃんの声を聴いている。
いつもみたいにぎゅっとしたい。
やさしい声で名前を呼んでほしい。
甘いにおいに包まれながら、眠りにつきたい。
それは、どんなにいままでと同じでも、
いままでとはぜんぜん違う性質の気持ちだ。



