グッバイ・メロディー



学校から家までの通学路を外れ、電車と地下鉄を30分ほど乗り継いだ先にある、新しいショッピングモール。

そこにどうしても行きたいのだとワガママを言えば、こうちゃんはひとつの文句もなく連れていってくれる男の子だ。


「ここ来てみたかったのー!」


先月オープンしたばかりな上、立地もよい場所にあるので、平日の夕方だというのにものすごく混んでいた。

どんくさいわたしがはぐれないよう、大きな手のひらがそっと指先を迎えにきてくれる。


「人いっぱいだね」


すでにめまいを起こしそうなこうちゃんが倒れてしまわないように、わたしも指先にぎゅっと力をこめた。


てきとうにぶらぶらと歩きまわった。

手に取るものなんでもかんでもカワイイとはしゃぐわたしに、こうちゃんは呆れも怒りもしないでずっとつきあってくれる。


「あ。ねえこうちゃん、プレゼントはこれがいい!」


色とりどりの花柄がとてもきれいな、がま口の化粧ポーチ。


いま使っているものがちょっと小さい気がしてるのと、ほんのり汚れてきてしまったから、新しいのをずっと探してはいたんだ。

まさかこんなにドンピシャなコに出会えるなんて!


「いいよ」


こうちゃんはそれをわたしの手から優しく奪うと、レジカウンターへ持っていき、新しいのありますか、と店員さんに訊ねた。