「ワキさんとみちるさんのこと?」
わかっているならわざわざ聞かないでほしいよ。
わたしの表情を肯定と受け取ったのか、こうちゃんは涼しい顔で「ふうん」とつぶやいた。
「べつに季沙が思いつめるようなことなんかないと思うけど」
「そうかもしれないけど! でも、ぜんぶ知らんぷりしていままで通りって、けっこうむずかしいよ。そんなに器用なほうでもないし……むしろけっこう、顔に出るほうだと思ってるし……」
脇坂さんとみちるちゃんはまだしも、アキくんの前で変なほころびを見せてしまったらどうしよう?
わたしの言動が引き金になって、ふたりがこじれちゃったりしたらどうしよう?
いらん心配って、クールすぎるこうちゃんには言われてしまいそうだけど。
「俺は、もしかしたらアキはもう全部知ってるんじゃないかと思ってる」
テーブルの上に広げたお菓子の包みをひとつ手に取りながら、こうちゃんはなんでもなさそうに言った。
「アキはほんとに人のことよく見てるし、そういうのにはかなり敏感だから」
甘ったるいチョコがころんと、こうちゃんの口のなかへ吸いこまれていった。



