「あれ。季沙ちゃん、大丈夫? なんかすげえ顔色ワリィけど」
「ひゃあっ!」
オバケにでも遭遇したかのような反応を見せてしまったわたしに、脇坂さんは大きな体をすくめて苦笑した。
「驚かせてごめん、けどそんなに後ずされるとなかなかサミシーもんがあるな。べつに取って食ったりしねえよ?」
「ちが、ごめんなさい、そういうつもりじゃ、なんというかその」
「んー? さては洸介と喧嘩でもしたな?」
ああ、こういうふうなことをおもしろがって言ってくるところ、みちるちゃんと本当に同じ。
「ほんとに、違うんです」
思わずなぜかぺこりと頭を下げてしまった。
脇坂さんが笑う。
目がくしゃっと小さくなって、強面だったのがいっきに優しい雰囲気になる。
そっと視線を落とすと、ゴツゴツと力強く浮き上がった鎖骨のあたりに、これまでぜんぜん気にも留めていなかったそれを見つけてしまった。
小さなひっかき傷のような、
鍵の形をしたタトゥー。
鍵穴とペアになっているって、ひと目でわかってしまった。



