「季沙嬢は瀬名少年の隣でいいね」
大きめの個室には、顔を見ると安心しちゃうくらい見慣れた4人と、ボスの脇坂さんと、関谷マコトさんとそのバンドメンバーの皆さんが勢ぞろいだった。
“カーモ”の顔ぶれを見るなり、芸能人だ、と思ってしまったわたしは、恥ずかしいくらいのミーハーで間違いないな。
端っこに座っているこうちゃんの隣に、わたしの意思というよりは、関谷さんに連れていかれるがまま座った。
「久しぶり」
言いたいこと全部すっ飛ばして、そんな言葉が最初に出てきてしまった。
「なんか、1日会ってなかっただけで、すごい久々な感じするね」
「うん。季沙、ぜんぜん連絡してこないし」
「だってそれはこうちゃんが忙しいと思って。じゃましちゃダメかなって思って」
「季沙のこと邪魔なんて思ったことない」
ずるい。
こうちゃんなんか、ひとりでさっさと東京に行っちゃうくせに。
いってきますに対して、言葉じゃなくてスタンプだけで返事したこと、さてはかなり根にもっているな。
むすっとしながらこうちゃんのウーロン茶に手を伸ばすと、少しだけ触れている体がちょっと動いた。
笑っている。
「また、すねた」
「すねてないっ」
お疲れさまって言いたいし、きょうの感想も伝えたいのに。
地元の女の子に会ったことも、衣美梨ちゃんが泣いちゃったことも、スイートポテト味のジェラートがおいしかったことも、会ったらぜんぶぜんぶ話すつもりだったのに。
「最近、すねてばっか」
こうちゃんがそんなふうだから、ダメなんだ。



