グッバイ・メロディー

⋆°。♬


その日の大トリを飾ったカウンター・モーションのステージは、とてもじゃないけど簡単には形容できないほど圧巻で、泣いたり笑ったりというよりは、もうポカンと開いた口が塞がらない感じ。

これが日本でいちばんのバンドの実力なんだと、思い知らずにいられなかった。


あまいたまごやきのはじめてのソロライブの夜、こっちをむいて笑いかけてくれたあのお兄さんと、ステージに立ってるあのボーカルの人は、たぶん本当に別人なんだって思ったよ。


「ミチ、やっと来たな。お疲れ、こっちおいで」


いや、だって、本当に。


「季沙嬢も衣美梨嬢も、きょうは遠路はるばる本当にありがとう」


きょうはこのまま女子3人でビジネスホテルにのんびり泊まって、あしたの朝、赤いコンパクトカーに乗ってまた西に向けて帰る予定をしていたはずなのに。

いきなりみちるちゃんが「お誘いが来たよ」と言ったかと思えば、ホテルから連れ出され、いつのまにかお洒落なバルみたいなところに到着していた。


どこにだってバスや電車であっというまに行けてしまう東京は、すごいところだ。


「好きなところに座っていいよ。衣美梨嬢は皆川少年の隣かな?」


つい数時間前、圧倒的なステージを見せてくれたあの人が、いま目の前でニコニコ笑っているのと同じお兄さんだなんて信じられる?

あのオーラはいまどこに隠してあるんだろう?


やっぱりぜったい別の人だよ。
同じなわけないよ。

そうだよ、きっと双子かなんかに決まっている。