約20分間の出番を、あまいたまごやきはきょうもやっぱりほとんどMCをしないまま終えた。
「全員まだ学生なので普段は地元中心に活動してるんすけど。よかったら名前だけ覚えて帰ってくださーい!」
簡単な自己紹介をして、最後にアキくんが完璧な笑顔でそう言い残しただけ。
それぞれ楽器を置き、あっけなく捌けていった4人のうしろ姿を夢心地で眺めながら、今朝のみちるちゃんの言葉をぼんやりと思い出していた。
――ああ、ほんとに大きくなっちゃったんだなあ。
これからもっと、大きくなっていくんだろうなあ。
わらわら散っていく人の波に置いてけぼりになりながら、どこかまだ余韻の残る空っぽのステージを見上げる。
最高の20分間だった。
こんなに楽しい瞬間はきっとほかに見つけられないだろうな、というほどの幸福を感じた。
そして、この楽しさは、お隣に住む幼なじみのこうちゃんじゃなく、あまいたまごやきのギタリストの瀬名洸介くんがくれたものなんだ。



