「そんなにそわそわしなくても時間がきたら自動的に始まるよ?」
「もう、場数踏んでるとやっぱり言うことが違うんだからなあ」
「わはは。季沙はたぶん、洸介くんがいなかったらこんな場所にはいないタイプの女子だもんねえ」
自分でもそう思う。
こうちゃんがいなかったら、こうちゃんがギターを手に取っていなかったら、みんなとバンドを組んでいなかったら、きっとこんなのはずっと知らない世界だった。
みちるちゃんも、衣美梨ちゃんも、脇坂さんも、きっと知らない人のままだった。
こうちゃんが繋げてくれた世界。
こうちゃんが出会わせてくれた存在。
いまのわたしを構成する半分くらいは、こうちゃんがくれたものばかりで。
それをとても、うれしいと思うんだよ。
そして同時に、こうちゃんの世界の半分は、わたしが作ったなにかであってほしいなんて、勝手なことまで願ってしまうんだ。



