「――あ! もしかして衣美梨さんですか?」
すでに人の波に覆われつつあるメインステージの最前まで到達すると、隣にいた女の子に突然声をかけられた。
「わー! すごい! 季沙さんもみちるさんもいるー!」
「ほんとだー! もしかしたらと思ってたけど、まさか会えるなんてねー!」
ツインお団子も、Tシャツも、目元を彩るラメも。
全部おそろいの女の子ふたり組は、うれしそうに顔を見合わせてキャッキャとはしゃいだ。
「ウチら、地元から来てるんです! どーしてもあまいたまごやきが見たくて! 対バンもいつも参戦してます! ついでにファンクラブも入ってます!」
「へーそうなんだ! すごい偶然ー!」
フランクに対応するみちるちゃんに、彼女たちはさらに声を上げた。
「あの、ファンクラブ立ち上げてくれてありがとうございました! それがなかったらここにも来れてなかったかも……」
フェスに出演すること、メルマガでいち早くキャッチできたおかげで、チケット戦争にすぐさま参加できたんだって。
そうかわりばんこにしゃべるふたりの話を聞きながら、胸を震わせたのはわたしだけじゃない。
衣美梨ちゃんはもう瞳をうるうるさせて、うれしい、とひとりごとみたいにこぼしたのだった。



