グッバイ・メロディー

⋆°。♬


とっさに目を逸らしてしまったわたしの不自然な行動について、こうちゃんはなにも言ってこなかった。

いつもみたいに宿題と闘うわたしの隣で、黙ってベッドにもたれながらアコちゃんと戯れるだけ。


眠たくなったら寝るのはいつものことだけど、その日は「一緒に寝よう」とは言わないで、わたしが自分の部屋へ帰るのも引き留めてこなかった。

まあ、毎日いっしょに寝ているわけでもないし、むしろいっしょに寝るのなんか週に1回くらいだし、たいしたことでもないのだけど。


それともこうちゃんは、そんなに気にもしていないのかもしれない。

わたしが目を逸らすとか、逸らさないとか、いまはそんなことを考える暇なんかないのかもしれない。



「晴れてよかったー!」


ここ数日は10月1日の天気予報だけが気がかりでしょうがなかった。

もしかしたら崩れるかも、と一瞬だけ言われていた本日、そんなのは杞憂だと言わんばかりの晴天なり。


真っ赤なコンパクトカーの運転席からいちばんに飛び出したみちるちゃんが、ぐーんと伸びをして雲ひとつない空を仰ぐ。


「運転ほんとに、ほんとにありがとう……!」

「ありがとうございましたっ」


日本列島のちょうど真ん中あたりから、ここ、日本の首都まで。

太平洋沿いの高速道路をずっと運転してきてくれたのは、我らがみちるちゃんだ。