グッバイ・メロディー

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ヒロくんが瀬名家で暮らし始めて1週間とちょっと、口数の少ない男子ふたりはそれぞれのペースを守りながら、いい距離感で生活しているらしい。


清枝ちゃんが仕事の日は、例のごとくわたしが夕食を作りに行くので、3人でごはんを食べることもままあった。


ヒロくんはこうちゃん以上に食の細い男の子だ。

そしてぜんぜん好き嫌いをしない。


こうちゃんも、しないけど。

食べることにあまり興味がないと、なんでも同じように食べられるのかな。


食べ盛りの男子がふたりもいるとは思えない量の食卓を3人で囲んでも、しゃべっているのはだいたいわたしだけ。


こんな調子で、こうちゃんとヒロくんはどんなふうにふたりきりの夜を過ごしているんだろう。

なにをしゃべっているんだろう。


それとも、もとより寡黙な人というのは、そんなに沈黙が気にならないのかな。


「べつに。お互い好きなことしてさっさと寝てる」


ヒロくんがやって来て2週目になる水曜の朝、いっしょに学校へ向かっている途中で、こうちゃんがちょっとげんなりした顔で言った。


「ただヒロが電話の電源切ってるせいで毎日アキから連絡くる」

「ああ、そうなんだね……」


アキくんは怒ると詰め寄るタイプだけど、ヒロくんは怒ると黙りこむタイプ。

喧嘩のやり方が正反対なのもあって、なおさらうまくいかないんだな。