「いろいろ愚痴みたいになってすみません」
「ぜんぜん愚痴じゃないよ! むしろしっかり考えててすごいなあって感心したというか」
同時に、なんにも考えていない自分が情けなくなったというか。
「洸介さんが季沙さんを大切にしてる理由がよくわかりました」
「ねえ、それおもしろがってない?」
からかい大魔王・アキくんのまごうことなき実弟は、まさか、と息を吐いて笑った。
「話せてよかったです」
15歳の顔をしてヒロくんは言った。
くちびるが照れくさそうにちょっとゆがんでいる。
ちょうどそこでタイミングよく、電話を終えたらしいこうちゃんがのそのそとベランダから帰ってきたのだった。
「ふたりでなんの話してたの」
開口一番に聞いてきたけど、それはこっちのせりふだ。
「そんなことよりアキくん、なんて?」
「なんかいろいろ言ってたけどうるさくてよくわかんなかった」
さっきまで気さくに話してくれていた弟は、兄の話題が出たとたんいきなりブスっと口をつぐんでしまった。
それどころかイヤホンを耳に差してゲームし始めるの!
「長期戦になりそう」
疲れ果てたような声で、こうちゃんはひとりごとみたいにこぼしたのだった。



