この年齢でそこまで考えていることに、素直に感心した。
わたしはヒロくんよりたしかにふたつ年上だけど、それは本当に生まれたのが早かっただけのことで、なんの意味もないんだとさえ思ってしまうよ。
こんなにも真剣に自分の将来と向きあえる中学生が、いったいどれくらいいるんだろう。
やりたいこと、そのためにやるべきこと、こんな苦しい顔をしちゃうくらい、思わず家を飛び出してきてしまうくらい、痛いほどまじめに考えている15歳って、きっとなかなかいない。
少なくともわたしは、ぜんぜんそうじゃなかったから。
ヒロくんの気持ち、口先だけでわかったようなことは言えなくて、軽々しく返事をするなんてとてもできない。
だからぎゅっと押し黙っていると、彼はこわばっていた表情をほどき、ふっと口角を上げた。
なんだかやっぱり、年下の男の子には思えない笑み。
たしかにまだ幼さの残る顔立ち、それでもどこか色気のある口元に、半田家に脈々と受け継がれているDNAをしっかり感じてしまう。
「正直、いいなって思います。洸介さんには季沙さんっていう最大の理解者がいるから」
「やだ、ほんとにそんなたいそうなものじゃないんだよ」
みんなわたしのこと、なぜかこうちゃんの特別みたいに言ってくれるけど。
特別なのはわたしじゃなく、こうちゃんのほうで、そんな特別な男の子のお隣にたまたま生まれただけの、わたしなんかはなんの取り柄もない平凡な人間だ。
「そういうのはいつも、与える側じゃなくて受けとる側が感じるもんなんじゃないですか」
普段あまり流暢にしゃべらない男子の言葉はとても新鮮だった。
15歳に思えないほど深みがあるし、妙な説得力があるから不思議。
たしかに、みんなの輪のなかに入ってワイワイ騒ぐのは得意じゃないのかもしれないけど、ヒロくんがちゃんと相手の目を見てしゃべる男の子だということ、いままで知らなかったな。



