「でも洸介さんって、真ん中が絶対にブレないから。かっけえなってずっと思ってます」
ヒロくんがまさかこんなことを言ってくれるなんて、わたしにとっては本当に思いがけないことで、驚くのと同時にとてもうれしかった。
同性のコにかっこいいと言われるのってなかなか偉大なことなんじゃない?
それがなににも心動かされなさそうな、超絶クールな男の子だと、なおさら。
「おれ、洸介さんみたいになりたい」
ヒロくんはほんの少しだけ恥ずかしそうに、誰にも秘密の内緒話を教えてくれるような音量で、そっとこぼした。
「大切なものだけをちゃんと、大切にできる人間になりたい」
こうちゃんもこの場にいてほしかった。
だけどヒロくんは、こうちゃんがいたらこんなこと言わないだろうなと思う。そういう男の子だと思う。
「バンド、一緒にやろうって言ってもらえたとき、すげえ嬉しかった。洸介さんの世界に入れてもらえるんだって思ったら断る理由なんて見つかんなかった。おれ、いままで毎日なにしてもつまんなくて、でもいま毎日すげえ楽しいのは、全部あの人のおかげで」
「ヒロくんは……もしかしてバンドを大切にするために、高校に行かないの?」
幼いドラマーは驚いたように一瞬だけ口をつぐみ、はい、とうなずいた。
「みんな卒業したあとに学生として取り残されんのはおれだから、それがいろいろストッパーになるのは嫌だなと思って。べつに高校は義務教育じゃねえし、おれは幸いにももうやりたいことも見つかって、それをすでにきちんとやれてるわけで。だからわざわざ高校行く必要もないんじゃねえかなって」



