グッバイ・メロディー




本人の知らないところでそんな話をしていたばかりだったので、帰ったらこうちゃんの部屋にその当人がいらっしゃったことに、驚きすぎてついつい声を上げてしまった。


「ヒロ、しばらくウチで預かることになった」


部屋の隅っこでゲームをしている後輩に目くばせしながら、こうちゃんはいたって淡々と言う。


「ええっ、あずかるってなに? どういうこと……?」

「家族と喧嘩して飛び出してきたって」

「え!? なにがあったの? 大丈夫なの?」


さあ、と興味なさそうな声。


こうちゃんの話によると、わたしが作り置いといたお昼ごはんの焼きうどんを食べ終わったころに、いきなりインターホンが鳴ったらしい。

それでドアを開けてみたら、ボストンバッグを抱えたヒロくんが立っていたって。


しばらく厄介になってもいいですか、

と相変わらずの仏頂面で、もしかしたらいつもよりずっと機嫌の悪い顔で、彼は一言だけつぶやいたとか。


わけを聞いてみても詳しいことは話そうとせず。

ただ、兄貴を含めた家族全員と意見が合わず、それならばとボイコットすることにした、と。