「実はもうけっこう調べたんです!」
鼻息を荒くした衣美梨ちゃんが、大きめの鞄から最新のタブレットを取り出した。
すでに開かれているいくつかのページをスライドさせては、見せながら説明してくれる。
ホームページ作成。メルマガの発行。掲示板の設立。などなど。
たしかに、これからあまいたまごやきがいろんな活動をしていく上で、こういう場所があったらかなり便利かもしれない、と話を聞きながら思った。
わたしももちろん4人のファンだけど、やっぱりこうちゃんはお隣さんの幼なじみだから、ライブのチケットどうしようとか、どんなふうにプレゼント渡そうとか、考えたこともなかったな。
「いかがでしょうっ」
「うんっ。すごくすごくいいと思う!」
話を聞く前はぜんぜんぴんときていなかったけど、思わずそのさらさらの手を握って、大賛成してしまった。
「ねえ、ところでわたしも会員になっていいのかな?」
さっきまでなんにも知らなかったやつがとても厚かましいことを言ったというのに、衣美梨ちゃんはうれしそうな顔でうなずいてくれたのだった。
「完全に非公式なので……実は、バンドとファンのちょうど真ん中にいる季沙ちゃんとみちるさんに運営のお手伝いをしてもらえたらな、と思って連絡したんです」
「えー、わたしになにかできることがあるならなんでもさせてほしいよ!」
ブラックのホットコーヒーをすすりながら、みちるちゃんも「もちろん」と微笑む。
「うれしいですっ。ありがとうございます! ほんとに心強いです」
それはわたしのせりふなんだよ。
4人についてこんなにも考えてくれる誰かがいること、そしてそれを間近に感じられているのを、自分のことみたいに幸せに思う。



