もともとここが地元だという関谷さんは、脇坂さんといっしょにライブハウス・ミスターグリッターをつくり、この場所で“バンドマン”になった人らしい。
ひとりでびっくりしていたら、こうちゃんはそんなこと当然のように知っていて、情けないやら恥ずかしいやらの複雑な気持ち。
ちょっとスマホを叩けばすぐに検索できそうなことをわたしはずっと知らないまま、ここに通い続けていたんだな。
「いやはや、いいね、まだ粗削りだけど、ぶっちゃけ素質しか感じなかった。こんなサビれたハコでやってばっかじゃもったいない」
関谷さんがにやりと笑った。
さっきとはちょっと違う、なんだか意味ありげな笑い方だった。
「そんなわけで、少年たちにひとつお誘いがあるんだが」
あの関谷さんからあまいたまごやきに直々、なんのお誘いがあるというのだろう。
どきどきしながら信じられない気分で次の言葉を待った。
さすが関谷マコトさん、間の空け方がプロだよ。
「秋にやる予定のおれらカーモ主催のフェスに、オープニングアクトとして出てみない?」



