よしよしと撫でてあげる。
ふわふわの髪、大きなワンコそのもののように、もふもふだ。
「――少年たちよ、お疲れさん」
まさにそのときだった。
知っている誰の声でもないそれが、わたしたちの真ん中に落っこちてきたのは。
「こんばんは、はじめまして」
視線を上げていちばん最初に目に飛びこんできたのはボス・脇坂さんだったけど、ベース音のような声よりも少し軽めにしゃべったのは、どうやらその隣の男性らしい。
「“カウンター・モーション”というバンドでギターボーカルを担当しております、関谷マコトと申します」
おどけた感じにわざとらしく丁寧な自己紹介をしてくれたその人に、言葉を失ったのはわたしだけじゃないはずだ。
あまいたまごやきをフォロワー数150万人のSNSで拡散してくれた張本人。
いま音楽シーンにおいていちばんの注目を集めている、カリスマ的存在の人が目の前にいるなんて、夢だと言われたほうが納得できるよ。
「真二に呼ばれて来ちゃった」
栗色に染まったやわらかそうな髪にはゆるいパーマがかかっている。
目に触れそうな長さのそれをふわりと揺らしながら、関谷さんは無邪気に笑った。
少年のような笑顔を浮かべる人なんだと思った。
もっとクールな感じかと勝手に想像していたよ。
スクリーン越しに見るのとはぜんぜん違う。



