もうどれくらいのあいだ飛び跳ね続けているんだろう。
隣のはなちゃんとたまに目が合って、汗だくの顔にお互い笑ったりしていると、時間なんて本当にあっというまで。
「なあ、マジでさ、いまめちゃくちゃ楽しくて困ってます」
バケツの水でもかぶったのかと思うくらい全身びちょびちょのボーカルが、お日様みたいな笑顔はそのままに、いつもより少し落ち着いた声で言った。
もう何曲くらい歌っているんだっけ?
アキくん、ぜんぜん声が枯れていない。
べつに出しにくそうというわけでもない。
「来てくれてるのってやっぱり地元の人が多いですか? つか、仲間内もまあまあいるっすよね」
いつもいっしょに対バンしているお兄さんたちが「俺らのことかー?」と声を上げた。
人ごみにはまぎれず、端っこで壁にもたれながら聴いているその姿勢は、楽しんでいるというより見守っているという感じがして、なんだかほっこりしてしまった。
あまいたまごやきは本当にいろんな人に支えられているんだって、こういうちょっとした節々で思うんだよ。
「ほんと、学校のやつとか、バイト先のメンバーとか、近所の人とか、ここから見渡すと知ってる顔がたくさんあってすげえ安心する。きょう来てくれてめちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます」
アキくんがぺこりと頭を下げると、ほかの3人も同じように続いた。



