アキくんの部屋に比べるととても殺風景な、こうちゃんのモノトーンの部屋。
なんにもしゃべらないで、音楽もラジオもかけないで、音のない空間でふたり、時間を忘れてただぼうっとした。
そのあいだ、わたしはずっとこうちゃんの腕のなかにいた。
わたしがそうしたいのか、こうちゃんがそうしたいのか、もはやどっちともつかないけれど、なんとなくお互いに離れる気にはならなくて、もう何十分間も抱っこみたいにうしろからぎゅっとされている。
ほとんど音楽に関する雑誌や教本しか並んでいない、こぢんまりとした本棚の上で場違いにピカピカと光っているデジタルフォトフレームは、こないだのこうちゃんの誕生日にわたしがあげたプレゼントだった。
めんどくさがりやさんのことだからどうせ自分で写真は入れないと思って、渡す前にデータをたくさん入れておいたんだ。
だからスライドショーは、ほとんどわたしのスマホで撮ったものばかり。
やっぱり、あまいたまごやきのみんなとの写真が多かった。
こうちゃんは写真が嫌いだから盗み撮りみたいなのもいっぱいだ。
こうちゃん、知っているかな?
みんなといるときすごく幸せそうに笑う瞬間があること、ちゃんと、自覚しているかな?
やっぱり、どうしても諦めたくない。
「こうちゃん」
いつもみたいに呼びかけると、いつもみたいに「ん」と短い返事が返ってきた。
よかった。
たったこれだけのことで、安心してしまう。



