それでも、わたしになにか言う権利もなければ、それをする勇気も持ち合わせていない。
こうちゃんに手を引かれるまま、1時間前に歩いたのと同じ道を反対からなぞった。
いまこの状況で、ふたりでどんなふうに過ごせばいいのかわからなくて、きょうはもう自分の部屋に帰ろうと思ったんだ。
だけどこうちゃんは、うちの玄関の前に到着しても、つないだ手を離してくれなかった。
べつに、いつもの顔だったよ。
なんでもない、なににも興味のなさそうな、全部が平気って感じのクールな目。
でも違うって咄嗟に思ったの。
わたしの指を掴んで離さないこうちゃんの手が、そうじゃないと、言っている。
「いっしょに、いよっか」
長い時間黙っていたせいでふてくされたような声になってしまった。



