いちばん最初にトシくんが帰り、ヒロくんも自分の部屋に戻ってしまったあと、3人とり残された部屋でアキくんとこうちゃんが喧嘩みたいになった。
喧嘩といっても、怒鳴りあい・つかみあい・殴りあいという、激しいのではなく。
「洸介おまえ、マジでどういうつもりなんだよ」
「どうも、こうも。あれ以上でも以下でもない」
「なんでおまえはいっつもそうやって冷静にいられんだよ!」
「感情的になったって状況はなんも変わんないし」
アキくんが語尾を乱し、こうちゃんがうっとうしそうに対応すると、その態度にアキくんがもっと声を荒げて……そういう、くり返し。
この部屋でわたしの存在なんて無意味もいいところだった。
アキくんがこんなに全身で激しく怒っているのも、こうちゃんがこんなに苛立たしさを露わにしているのも、はじめて目の当たりにして、それを心で処理するのにもういっぱいいっぱいで。
気のきいた言葉をかけるどころか、せめて迷惑にならないようにと存在感を消すことに尽力してしまった。
あんまり情けなくて、このままほんとに消えちゃえたらどんなにいいかと、何度も思った。



