アキくんのお母さんが5人分のジュースとお菓子を持ってきてくれたのと同時に、そのうしろから、見慣れた背の高い影はやっと姿を現したのだった。
「おせえよ」
誰のために集まってると思ってんだよ、
とアキくんがマックス不機嫌に言う。
トシくんは小さく頭を下げ、ゴメンと答えた。
遅れて来たことに対する謝罪だけではないというのをたった一言で痛感して、簡単に鼻の奥がつんとしてしまった。
「あんまり、まわりくどいのは好きじゃないから」
こうちゃんがいきなり言った。
「まだなんも聞けてないし、なんか話すことあるなら先に言って」
迷いのない声。
トシくんがなにを言ったとしてもきっと、こうちゃんはこの横顔をしかめたりはしないのだろう。
だけどいまのわたしにとって、それは安心ではなく、どうしようもない不安だ。
こうちゃんは、トシくんに怒らないかもしれない。
引き止めないかもしれない。
最後には静かにうなずいてしまうのかもしれない。
そんなのは絶対に嫌だった。
「大学進学のために、受験するにあたって」
トシくんはいつもの穏やかな声で切り出した。
「正直、バンドと両立はできないと思った」
アキくんの顔色が変わった。
ヒロくんがスマホを触る手を止め、目を上げてトシくんを見た。



