ピシッときれいに片づいているわけではないけれど、散らかっているわけでもない。
少年漫画のタイトルがたくさん並んでいる本棚、洋服ダンスではなくハンガーラックにずらりとかけられている洋服、曲を作るのにこうちゃんと使っている高性能のパソコン。
こうちゃん以外の男の子の部屋におじゃますることっていままでになかったから全部が新鮮だな。
どこにいればいいのかわからずにおろおろしていると、くいと、優しく手首を引っぱられた。
やっぱりわたしはこうちゃんの隣に座るらしい。
「トシは?」
こうちゃんがなんとなしに聞いた瞬間、どこか空気がぴりついた。
「さあ。もしかしたら来ないかもな」
いつもより3トーンくらい低い声でアキくんが答える。
ヒロくんは押し黙ってスマホをポコポコ叩いている。
そうしていないと落ち着かないとでもいうふうに、その動きは絶え間なくくり返されていた。
チクタク、チクタク、秒針だけが延々と規則正しく動き続けていた。
手持ち無沙汰で1分おきに時計に目をやってしまう。
黒い文字盤に虹色のグラデーションで浮かび上がっている数字がおしゃれで、アキくんっぽくて素敵だけど、とてもそんなことを言い出せる雰囲気ではないよ。



