そしてくるりと方向転換したこうちゃんが、こてんと、頭をわたしの肩に乗せた。
「もしかしてほんとに泣いてるの?」
「泣かない」
そうだね。
こうちゃんって、本当に泣かない男の子だ。
インフルエンザの予防注射に行ったときも、歯医者さんの定期検診に行ったときも、遊園地のジェットコースターに乗ったときも、いつもぴーぴー泣いているのはわたしのほうで、こうちゃんは常にポーカーフェイスのまま隣に座っていて。
そのなんでもなさそうな顔を見ているとなんだか全部が大丈夫な気がして、勝手にほっとさせられていたけど、もしかしたらこうちゃんにも泣きたい瞬間はたくさんあって、それをひとりで我慢してきただけなのかもしれない。
そう思うと、とたんに情けない気持ちになった。
こんなふうに感じたことが、過去にも一度だけあったな。
直おじちゃんのお葬式の日。
最後まで一滴の涙も見せなかった横顔に、わたしはなぜだかどうにも不安になったんだ。



