「ね、どこの大学行くつもりしてるのか聞いてもいい?」
まだ4月だというのに3年生はすでにいろいろと忙しそうで、学年集会やら保護者説明会やら二者面談やら、受験にむけて早々に動きだしているのは後輩から見ても明白の事実。
いまは他人事のように見ているけど、来年はわたしたちもそうなるんだもんね。
ぜんぜん信じらんないよ。
少しでも参考にしたくて聞いてみたはいいものの、よく考えなくても、トシくんとわたしを比べたら天と地ほどの差があるのだった。
学年トップの進学する大学など、わたしには受験する権利すらない。
「トシくんならどこにだって行けちゃうよねえ。選びたい放題なんてうらやましいよ。頭ってどうやったら良くなるの?」
「ずっと思ってたけど、季沙って基本的に俺のこと買いかぶりすぎてるよな」
なあ、と言われているのにこうちゃんはウンともウウンとも答えない。
つんと黙ったまま、またホットミルクをすすっている。
「だってトシくんほど完璧な人って見たことないじゃんね!」
わたしのことも、無視するどころか、こうちゃんは今度はそっぽを向き、ギー子さんに手を伸ばしてしまった。
「洸介さ、そろそろ身内にまで嫉妬すんのやめない?」
トシくんが勘弁してくれって感じに、あきれたように笑った。
こうちゃんがこんなわがままボーイに育ったのは、きっとわたしが過保護にしすぎたせいだね。
だけどそれは逆もしかりなので、わたしはえらそうなことを言える立場ではないのである。



