ふわふわの白い雲に、パステルカラーの青と黄色を立てたら、ひとつずつ丁寧に火をつけて。
部屋の明かりを消したとたん、オレンジ色を帯びて浮かび上がった“17”の2文字が、ゆらゆら幻想的に揺れてきれい。
こうちゃんが17歳になった日をお祝いできるのはたった一度だけだから、この光景を見られるのもきっとこれきり。
そう思うとあんまり尊くて、なんだか泣きそうになってしまった。
「じゃ、ワン、ツー」
すでにこうちゃんのギタ美ちゃんを手に取っていたアキくんが手探りでコードを弾きはじめる。
闇に視界を奪われているせいで少しだけ危うい音程が、恥ずかしがりやさんにはちょうどいいのかもしれないね。
ハッピーバースデー、こうちゃん。
生まれてきてくれて、わたしのお隣さんでいてくれて、あまいたまごやきのみんなと出会ってくれて、本当にありがとう。
「はいっ、こうちゃん! 消して! ふーっ!」
暗くて見えないはずなのに、夢のように消えてしまった灯火のむこうで、ちょっと居心地悪そうにしている顔をたやすく想像できた。
「こうちゃん、17歳ほんとにおめでとう」
部屋の電気をつけると思ったとおり。
なんともいえない、きまりの悪そうな瞳と、ぐっと内側に巻きこまれたくちびるに、もういっぱいいっぱいの照れが詰まっているよ。
バンドを結成しても、何度ステージに立っても、たくさんのプレゼントや手紙を受け取っても、こうちゃんっていつまでたっても注目を浴びることに慣れないの。



