「ひえー、この2週間そんなだったんだ?」
行きがけに買ったアイスコーヒーをストローで吸い上げたみちるちゃんが、悲鳴のような声を上げる。
今朝もこうちゃんはギターや機材を抱えて朝早くに出かけていった。
やっとなのか、いつのまになのか、とにかく2か月ぶりの対バンの日をこうして無事に迎えられてよかったって、そのうしろ姿を見送りながら本当にほっとしたんだ。
「でも楽しみだね。あのコたちの才能に気づいた4社はなかなかセンスあるんじゃない?」
レコード会社から音源化の話がきているという話、こうちゃんたちはなるだけ内密にしているはずなのに、みちるちゃんは当たり前にそのことを知っていたので驚いた。
はじめはアキくんかなって思ったけど、情報源はここのボス。
脇坂さんとみちるちゃんは、わたしが思うよりずっと仲がいいみたい。
雰囲気もどこか似ているし、兄妹なのかと思って聞いてみたけど、ぜんぜん違うって。
あんな兄貴がいたらいじめられるよって笑い飛ばしたみちるちゃんは、脇坂さんのことをきっと本当のお兄ちゃんみたいに慕っているんだろうな。
そういえば、みちるちゃんはいつから、ここの常連さんなんだろう。
もしかして音楽をやっていたこともあるのかな。
だから、こんなにかわいがられているのかも。
そういえばみちるちゃんのことってあんまり知らない。
聞き上手すぎていままで気づけなかったけど、彼女はぜんぜん自分のことを話さない人だ。



