友達と連絡を取り合いながら、あちこち探し回ったけれど、比奈子は見つからなかった。

 本当にどこに行っちゃったんだろうな。何だか嫌な予感がして、胸のあたりがぎゅーっとなる。

 お父さんもお母さんも心配しているようだったけれど、夕方には店を開かなければならない。私の家は一階部分が小料理屋なのだ。

 平日はランチもやっているけれど、今日は日曜日だからランチはお休み。

 スマホを気にしているけれど、比奈子からは何の連絡もない。本当に比奈子はどこに行ってしまったんだろう。

「志帆、手伝ってくれる?」

 TVにも集中できないでぼんやりと眺めていたら、一階の店にいるお母さんに呼ばれた。厨房ではお父さんが料理をして、お母さんができあがった料理を運んでいる。

 私は、店の隅っこにかけてあったエプロンをつけて洗い物を始めた。