傷を負った私を助けたのはヤクザでした。【完】





鳩はいつもの、と言ってお気に入りらしいワインを頼んだ。




「鳩、お願いがあるんだ」






「嫌だね」





何も言ってねえだろ。




その心も見透かされていたようで。





「お前の頼み事で良いことはねえからな。紅菊絡みだろ」




「そうだ」





「結局決めるのはいつだって俺の意思じゃなく紅菊の意思だ。紅菊に言えよ。」




「居場所を失うのは知ってるが、俺はアイツを守りたい。守られるなんて柄じゃねえ」





「だから、紅菊に言えよ。居場所なんて知らない。勝手にアイツが紅菊を居場所にしているだけだ。」




「(その居場所を)与えたのはお前だろ」




そう言うと顔を歪ませる鳩。





「与えただけで、それを居場所にするか否かはアイツ次第だろ。」




「居場所がないアイツにとって、紅菊を居場所にするしかないだろ?
俺は紅菊を辞めてほしいだけだ。」





「うるせえな。そんなに辞めてほしいならアイツに言えよ。まあ、お前のことだ…言えねえだろうけど。だからって俺を巻き込むな…だりい。」


そう言ってワインをグイッとのむ鳩。




図星をつかれ何も言えない。