「お前…百合か?」 自分でも何故言ったのかよく分かっていない。 紅菊からの返事はない。 「顔を見たい。」 これもまた返事はない。 人違いか? そう思い、引き返そうと思った時だった。 「玲真…結婚おめでとう。」 唐突の言葉だった。 ありがとう。そう言えばいいのか? でも、俺はありがとうなんて言えない。 「これが本当の別れだよ。」 そう言って俺を通り過ぎようとしていた。 百合…。 「俺は、ありがとうなんて言えない。」 俺は百合の腕を掴み、そう言った。 「…え?」