涼音は尋ねていた。『うちの山』と言ったから。 山と畑ばかりの田舎町は、山の所有ははっきりしている。 大概は、古くは地主だった家や、お寺さんなんかの所有であることが多いのだが。 「一応。もしかして迷ったのか?」 少年は、開けたこの月の場所の入り口に立っている。 月の下にいる涼音に近づこうとはしない。 涼音は首を横に振った。