低い、けれどあまり冷たさの感じない声に制されて、涼音は月ばかりを見ていた顔をのろのろと動かした。 ……今の、聞かれていた? 「……あれ、中学生?」 低い声――男の子、だった。 顔を向けた涼音を見て、少し驚いたような反応があった。 少年は懐中電灯を持っていて、光を向けられた涼音は目を細めた。 すごく背が高いが、薄っすらと見える影が学生服を着ているので、年が近いことだけはわかる。 「……この山の人?」