月下美人ー親友以上恋人未満は、運命じゃない二人ー【完】



前から歩いてきた青年に、涼音が慌てて駆け寄る。



頭を押さえていきなりしゃがみ込んでしまったのだ。
 



道路に屈む長身の青年。



涼音と苺花が肩に手をあて支えるようにしてやると、

「ああ……」と唸るような声で答え、ゆっくり顔をあげた。



「大丈夫ですか? 貧血とか?」
 



苺花が問うと、青年はすまなそうに微笑んだ。