山と畑の田舎から十五分しか離れていないが、ここは県内でも有名な大型の市。 マンションが相次いで建築され、人口は増える一方。 涼音たちの村落も同じ市内ではあるのだ。 数年前に行われた大合併で、吸収合併された。 かと言って、地元の方は、人は出て行く一方通行だが。 麗音の若月家がある部落がある隣町は、その大合併の波に乗らず、県内で一番小さな町となった。 イロイロと大人の――つまり面倒さ満載なだけの――事情があるのだそうだ。