どこでもいい。 どこでもないところなら。 生死の判別なんて、そこにはあってもない。 ふと、細い光が幾筋も差しているのは見えた。 樹が晴れて、開けた場所に近づいて行くようだ。 足はそこへ向かう。 (つき) 一か所だけ、樹が植わっていない場所に出た。 夕暮れだと思っていたが、いつの間にか夜の帳。 あるのは月の光だった。 月の光がはっきり見えるほどの夜闇を、自分は山の中をどうやって歩いてきたのだろう。