一叶は半眼になって涼音を見遣る。




「何お前、麗音を口説いたのか。

じゃあ俺はこれで。涼音の成長を師匠(せんせい)に報告しないと」



「待てバカ! 本当に帰ろうとするな! 麗音も誤解されること言わないでよっ」



「涼音、静かに」



「……っ」
 



小さな大声で叫んだ涼音の唇にそっと人差し指を当てると、涼音は真っ赤になって押し黙った。



本当に帰ろうとした一叶の腕を摑んでいた手も、勢いを失って離れる。