「すみません、この前僕、涼音さんの名前に聞き覚えがあって、嘘を吐いてしまったんです」 「……うそ?」 涼音が眉間に皺を寄せると、「はい」と肯く蒼井。 ゆっくり顔をあげた。 この前よりは赤みのある頬。 すまなそうに瞳が細まる。 「僕は、若月空緒というのが本名なんです」 「―――――」 知っている名前、だった。